新型コロナウイルスの影響により、完全在宅勤務となった企業も多い中、在宅勤務が終了し、毎日スーツを着て会社に出社している方も多いのではないでしょうか。
毎日着ているスーツですが、正しい選び方やケア方法を知っている人は意外と少ないようです。

いま着ているスーツは本当に自分に合ったサイズなのだろうか。

1日着た後のビジネスファッションのケアはどうすればいいの?
など、分からないことだらけの方も多いと思います。
そんな中、今回紹介するビジネス書『装いの影響力』には、ビジネスファッションの在り方や日常のケア方法など、ビジネスファッションの取扱説明書とも言える充実の内容になっていました。
『装いの影響力』は大きく以下の2つの内容で構成されています。
- 第1,2,4章:ビジネスファッションに関するマインドセット
- 第3章:ビジネスファッションの具体的な選び方、ケアの方法
マインドセットについてはぜひ実際に本を購入して読んでいただきたいと思います。
今回は「第3章:ビジネスファッションの具体的な選び方、ケア方法」について紹介します。
ぜひ最後までお読み下さい。
- 自分に合ったサイズのスーツやワイシャツの正しい選び方を知りたい
- ビジネスファッションのケア方法を知りたい
- ビジネスファッションの買い替え時をどう判断したらいいのか分からない
著者プロフィール
著者の末廣徳司(すえひろとくじ)氏は、日本唯一の経営者専門スーツ仕立て屋「インサルト」の代表です。
ユナイテッドアローズ時代は、業界を代表する社内の服飾専門家から直接レクチャーを受け、ワールド在籍時は、商品開発に関わる全業種を経験し、1週間に5万点以上を売り上げる大ヒット品番を連発したそうです。
2009年に独立後は、スーツを通したブランド創りの専門家として、創業以来12年間で、経営者、政治家、医師、作家、講演家、士業、芸能人、スポーツ選手などエリート15000人以上のスーツを仕立てています。
スーツ、ワイシャツ編
最適なジャケットの長さを簡単に知る方法
ジャケットの長さは、お尻が半分以上隠れているのが最適の長さです。
具体的な数値は以下の手順で計算できます。
- 身長から25センチを引く
- その数値を半分にする
- その数値から1を引く
- 体型による調整をする(細身:-1〜2cm、標準:±0cm、ガッシリ:+1~2cm)

例として、私の場合で計算すると
- 178cm – 25cm = 153cm
- 153cm / 2 = 76.5cm
- 76.5cm – 1cm = 75.5cm
- 標準体型なので、75.5cmのまま
よって、私の場合、ジャケットの最適長さは75.5cmということになります。
クールビスでは襟に表情のあるワイシャツを選ぶ
ネクタイを着用するかノーネクタイかで、ふさわしいシャツの種類が異なります。
ネクタイを着用する場合は基本的にどんなシャツでもOKですが、ノーネクタイの場合はふさわしいシャツの襟の形というのがあります。
ノーネクタイにふさわしいシャツの襟の形とは、
「襟自体に表情があるもの」
具体的には
「襟が少しだけ高く広がっているもの」になります。
店で店員さんに伝えるときはホリゾンタルワイドのシャツ(日本語だと”横幅”)と言うと伝わります。

正しいブラッシングは最初に「下から上」
会社から帰宅後に行うスーツのブラッシングですが、以下の手順で行うのが正解です。
- 最初は「下から上」に、掻き出すようにホコリを除去する。
- “次に”上から下にブラッシングし、毛並みを整える。
ブラッシングの際は、スーツをハンガーにかけ、下の部分を手で押さえながらブラッシングするのがコツです。
また、携帯用のエチケットブラシでは服の繊維の奥にあるホコリは取り除けないため、洋服ブラシを使うようにして下さい。
スーツの生地であるウール(羊毛)は、スケール(人間の髪の毛でいうキューティクル)と呼ばれるウロコ状の表皮で覆われています。
このスケールには「復元生」という性質が備わっており、シワができても時間が経てば元に戻る性質を持っています。
しかし、ホコリがつくとこの復元性が劣化し、シワが取れにくい服になってしまいます。
そのため、1日着たスーツは必ずブラッシングをして、ホコリを取り除く必要があります。
このスーツの復元性を生かして
- シワの復元の時間を確保する
- 湿気を取り除く
- 臭いを取り除く
これらのためにも、1回着用したら最低でも3日は休ませるのが良いようです。
スラックスのシワの伸ばし方
スラックスのシワを伸ばす手順はたったの1ステップ
「ボトムハンガーにかけ、ベルトをつけたまま垂らしておく」
たったこれだけで、ベルトの重さに引っ張られてシワがすごく簡単に取れます。


スラックスは特に膝の裏側に深いシワがつきやすいため、毎日この方法でシワを伸ばしましょう。
クリーニング
クリーニングに出す頻度はシーズンに1回程度でOKです。
それでもタイミングがいまいちわからない場合は、
「パンツのクリースライン(折れ線)が消えてきたらクリーニングに出す合図」
だと思ってください。

出張でホテルに泊まるとズボンプレッサーが置いてあるけど、ズボンプレッサー使うとクリーニングに出すタイミングが分からなくなっちゃうってこと?

ズボンプレッサーは折り目をきれいにするのが難しいだけでなく、ちょっとズレると折り目が数本できてしまうことがあるため、本書ではあまり勧められません。

確かに膝から下は折り目が1本だけど、腰回りは2本になってる…。
また、クリーニングに出す際は
- 水洗いクリーニング
- 汗抜きクリーニング
- 汗抜き加工
この3点セットをクリーニング屋さんに依頼してください。
水洗いクリーニングとは、通常のドライクリーニングをした後に、縮まない加工液が入った水に10分間浸ける方法です。
これにより、ウールにダメージを与えずに汗やニオイを除去できます。
また、クリーニングから返ってきたら、かかっているポリ袋はすぐに外しましょう。
このポリ袋は、運搬中に汚れないようするためのものです。
ポリ袋をかけたままにしておくと、ニオイの原因になったり、変色する恐れがあります。
ネクタイ編
ネクタイ編に入る前に、まずネクタイの各部位の名称を確認しておきましょう。

ネクタイは長さが大事
ネクタイはブランドや柄よりも、長さが大事です。
具体的には、❻大剣(ネクタイの太い方)の先端がベルトにかかるくらいの長さが理想的な長さとなります。
一般的な国産品のネクタイ(長さ148cm)の大剣をベルトにかかるくらいの長さにした場合、身長175cmの人であれば❻大剣と❾小剣(ネクタイの細い方)の先端がだいたい同じ位置に来ます。

175cmでない人はどう対処すればいいの?

175cm未満の人は小剣が大剣から飛び出てしまいますが、小剣を折り曲げて裏のループにかけてしまえばOKです。
175cmより大きい人は小剣が大剣より短くなります。これはもうどうしようもないので、裏のループに小剣を収納しましょう。
保管方法
ネクタイは丸めて保管すると必ずシワができてしまいます。
1日着用したネクタイは、以下の方法で保管しましょう。
- 結び目の部分を手の甲の部分で10〜20回強めの力で叩き、シワを取る。
- シワを取った後、1日だけネクタイハンガーか、ネクタイをかけられる所で垂らす。
- 1日経ったら2つ折りにして保管する。

2のまま長時間放置してしまうと、ニット素材などの場合は伸びてしまう危険性があるので避けましょう。
革靴編
革靴は紐付きが正解
次に革靴ですが、紐付きのものを選ぶようにしましょう。
紐のある靴は足を靴にフィットさせ、足を疲れさせません。
スポーツ選手の靴に全て紐がついているのもこういった理由です。
また、靴紐の結び方は表に出る紐が水平のラインに見える結び方が基本です。
表に出る紐が水平のラインに見える結び方には「パラレル」と「シングル」の2種類がありますが、左右の紐の長さのバランス調整が容易な 「パラレル」がオススメです。


ちなみに、スニーカーやブーツの場合は、以下のような表に出る紐がラップする結び方が定番です。

サイズの合った革靴の見極め方
サイズの合ったベストフィットの靴は、履いた瞬間に「シュッ」と空気の抜ける音が必ずします。
- 履いた瞬間に「シュッ」と音が鳴るかどうか
- 靴紐をほどかないと脱ぎ履きできないか
この2つで靴のサイズを見極めましょう。
革靴の休ませ方
革靴は必ずシューキーパーに入れて休ませてください。
シューキーパーは汗や湿気を吸い取るだけでなく、曲がったカタチを真っ直ぐにしてくれます。
靴の磨き方
普段は乾いた布で磨くだけで十分ですが、3ヶ月に1回は次の手順でしっかりと磨きましょう。
- 汚れを取る。
- クリームを塗り、ツヤを出す。
- つま先、かかとだけを光らせる。
最も大事なのは「3. つま先、かかとだけを光らせる。」です。
靴全体を光らせるのではなく、硬い芯が入っているつま先とかかとだけ光らせるのです。
他の部分は足の動きに合わせて柔軟に曲がるようになっているため、そこにクリームを塗ると曲げた際にクリームがバリバリに割れて汚くなってしまいます。
捨てるサイン
最後に、本書で記載されていた「各ビジネスファッションの買い替えの目安」を紹介まとめます。
- スーツ、ジャケット類:生地にテカリが出てくる。シワが取れにくくなる。
- シャツ:首元やカフス部分がかなり黒くなる。アイロンをかけてもシワが取れにくくなる。
- ネクタイ:結び目のシワが取れなくなる。
- 革靴:磨いてもツヤが出なくなる。全体に傷がつく。
- ベルト:形が歪んでくる。端がめくれ上がる。
- バッグ:磨いてもツヤが出なくなる。全体に傷がつく。
まとめ
今回は末廣徳司さんの著書『装いの影響力』について紹介しました。
私自身、帰宅後のケアやクリーニングに出すタイミングなど、正直知らないことだらけで、かなり勉強になりました。
今回の記事の内容をまとめると以下のようになります。
- 最適な長さのジャケットは、お尻が半分以上隠れている。
- ノーネクタイの場合はホリゾンタルワイドのワイシャツを選ぶ。
- 1日着たスーツは必ずブラッシングをして、ホコリを取り除く。
- スーツは1回着用したら最低でも3日は休ませる。
- スーツのクリーニングはシーズンに1回程度。「水洗い・汗抜き・汗抜き加工」の3点セット。
- ネクタイの長さは大剣の先端がベルトにかかるくらいが正解。
- 革靴は紐付きを選ぶ。靴紐の結び方は「パラレル」がおすすめ。
- 革靴はシューキーパーに入れて休ませる。
今回の記事を見て気になった方は以下のリンクからチェックしてみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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